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数学の良問 [その他いろいろ]

昨日は英語ネタだったので、今日は数学ネタでいきましょう。そして明日、国語ネタを書けば、3日間で主要3教科を制覇です。よーし、やるぞ!←アホか、自分。

さて、僕は数学の問題を解く趣味がありまして・・・・あっ、引かないでください!今、速攻で別のサイトに飛ぼうとしたあなた、ちょっと待って。次の問題を見てください。

「円周率が3より大きいことを証明せよ (2003年東京大学理系)」

興味ひかれるでしょう、この問題?「ドラゴン桜」にも出てきた、その筋では有名な問題なのだそうです。

この問題、実に素晴らしい問題です。まず、問いがシンプル。たった17文字しかありません。そして何通りも解法があり、最も簡単な解法でいくと中学生レベルの問題へと還元することができます。

小学生に円周率を3と教えるか、それとも3.14とするかで論争がおきたことがありました。この問題はそんな教育関係者たちに 「そんなことはどっちでもいいんだよ!本質を理解しろ!」 というメッセージを送っています。出題者の風格とユーモアのセンスすら感じさせる問題であります。

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概念的なヒント

解答をみる前に、思考実験を繰り返しましょう。

円周率とはそもそも何か?そう、円の面積と円周長を求めるための道具である。

この問題では、円周率がある値より大きいことを示さなければならない。どうしたらよいか?そう、円の面積が「何か」の面積よりも大きいことを示せばよい。あるいは円周の長さが「何か」の長さよりも長いことを示せばよい。そこから突破口が拓けるはず。

つまり円よりも必ず小さくなる図形を探せばよい。それは何か?何か?何か?・・・・・・

円の中にある図形だ!しかし待てよ、円の中にはどんな形の図形でも描ける。どれを選べばよいのだ?

ここで3という数値を考えてみる。これは3.14よりほんの僅かに小さい。ということは「何か」は円よりも僅かに小さな図形になるはずだ。円の内部にあり、円よりも僅かに小さな図形・・・・・

内接する多角形だ!

ここまでくれば半分は解けたようなものです。

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解1

高校レベルの解き方です。

半径rの円の中心をOとし、角AOBが30°になるように円周上にA、Bをおく。

 

この三角形を12個くっつけると、円に内接する12角形になる。

さて、ここで取りうる道が2つある。余弦定理を使って辺ABの長さを求め、それを12倍すれば12角形の周の長さになる。これが円周よりも短いことを利用して題意を証明するか、あるいは、正弦を使った面積の公式から三角形の面積を求め、それを12倍することで12角形の面積を出し、それが円の面積よりも小さいことを利用して証明するか、である。

前者だと2重根号が出現して計算がややこしくなるので、後者でいくとする。

三角形OABの面積=1/2・OA・OB・sin30°

            =rの2乗・1/4

円に内接する12角形の面積=12XOABの面積=3・rの2乗

これが円の面積である円周率・(rの2乗)よりも小さいわけだから

円周率・rの2乗>3・rの2乗

円周率>3 (証明おわり)

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解2

こちらは中学レベルの解法です。

今度は角AOBが60°になるように円周上にA,Bをおく。(すいません、下の画像でAの位置がずれてます)。

この三角形OABを6個くっつけると円に内接する6角形になる。

ところで、OA=OB=rであるから三角形OABは二等辺三角形であり、角AOBが60°であることを考慮すると角OAB=角OBA=60°となる。これはつまり三角形OABが正三角形であることを意味する。よって辺AB=rとなる。

とすると、くだんの6角形の周の長さは6r。これが円周の長さである2・円周率・rよりも短いわけだから

6r<2・円周率・r

3<円周率  (証明終わり)

 

追記:

類題として、やや難しいですが、「円周率が3.06より大きいことを証明せよ」という問題を作ることができます。それから、ちょっと違った概念を使って、「円周率が3.6より小さいことを証明せよ」 という問題を作ることもできます。興味がある方はどうぞ。 


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コメント 6

gutta

数学、苦手ではなかったのですがダメでした・・・。なのでしょちょうさんの明答(↑)は時間ができたらゆっくり拝見することにします。
by gutta (2006-04-19 11:51) 

scot

中学生の持っている知識で解けるのに、本質的で深い問題です。
このような素晴らしい問題を沢山知りたいです。
by scot (2006-04-19 13:14) 

しょちょう

ぐったさん
お忙しいのにチャレンジいただきありがとうございました。問題も解答も逃げませんので、いつでも再挑戦を!

scotさん
そうでしょう?僕もそう思うのです。また良いものがあったら紹介しますね。
by しょちょう (2006-04-20 17:03) 

ひーさん

昨年、日本語補習校の4年生を受け持ってたのですが、円周率を教えるための先生のガイドブックにしょちょうさんが書かれていた方法(小学生)と同じような感じで記載してありました。何事も本質を見抜く・習得する事が大事なんだな~と改めて思いました・・考えさせられました。有難うございました。
by ひーさん (2006-04-23 00:15) 

gutta

しょちょうさん、誤解を生むようなコメントでスミマセンでした。実はチャレンジはしていないのです・・・「数学の成績がよくはなく悪くもなく」ということでして・・・。別に大人気なくココで弁解しなくてもいいのですが・・・すみません。
by gutta (2006-04-23 07:23) 

しょちょう

ひーさん
日本語補修校ってことは海外にお住まいですか?多分小学生でもあの問題を解ける子はいると思います。よく考えてみますと、解法2のほうは小学校の算数の知識で解けますよね。本質の理解と連想力ですね、大事なのは。

ぐったさん
いえいえ、苦手じゃないだけでも立派なことですよ。ほとんどの子供は数学嫌いですからね。あれは教え方の問題だと思いますね。
そういえば循環器内科ってときどき数学の知識使いますよね。ベルヌーイとかラプラスとか・・・・あ、あと心エコーの原理にフーリエ変換が使われてるらしいですよ。あ、もうどうでもいいですね。すいません。笑
by しょちょう (2006-04-25 18:07) 

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