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K-1アジアGP2005の感想 [ムエタイ・ガオグライ]

遅まきながら、K-1アジアGP in ソウルを見た。イギリスで情報封鎖されている僕を不憫に思ったmeewさんがDVDを送ってくださったのだ。(泣)

さて感想だが、トーナメントに出てる選手、ガオグライ以外は技術レベル低すぎ。もうコメントする気にもならない。しかしこの大会は以下の三つの点で興味深かった。それは、1:ガオグライがさらに進化していたこと 2:ガオグライのセコンドが決勝での戦い方を間違って指示していたこと 3:K-1がついに禁断の世界に足を踏み入れてしまったことの三点である。

1:ガオグライの進化

初戦の1Rこそ動きが硬かったが、全般的に今年のガオグライは去年に比べてよりヘビー級に適応したスタイルになっている。去年のアジアGPと比べてリング内での空間の使い方が上手になっている。脚さばきがいい。去年はまだムエタイの戦い方から脱してなかったのだが、今年はよく伸びるフックと精度の高いハイキックを飛び道具として使いながらリング内での空間支配権を握るというヘビー級に特化した戦い方を完全にマスターしている。最初の2試合に関しては見ていて危なげなシーンが一度もなかった。

2:決勝での戦い方

決勝の相手チェとは体格差がありすぎて試合をさせること自体に無理があるし、延長ラウンドでは決着がついてないと思う。いわゆる「K-1判定」というやつでガオグライは負けてしまったわけだ。しかし個人的にはセコンドがある事実に気づいていればK-1判定であっても勝機があったと思う。それは「チェは外側の視野が見えてない」ということである。

あの体型であの顔貌の人はいわゆる「巨人症」とか「末端肥大症」といわれる病気である可能性が高い。この病気は脳下垂体に発生した良性腫瘍で腫瘍が成長ホルモンを過剰に生産してしまうために体が大きくなってしまうというものである。脳下垂体と視神経は近接しているため、この腫瘍が大きくなると視神経を圧迫し「両耳側半盲」と呼ばれる症状を引き起こす。両目の外側の視野が欠如してしまうのだ。これは医者なら誰でも知っている。

ガオグライとチェの試合を見ていると、ガオグライはチェと向かいあい、攻撃を仕掛けるときは直線方向に素早く動いて近づこうとする。横方向にも動いているが、それは距離を取るための動きなので素早い動きではない。チェは直線方向に近づいてくるガオグライには素早く反応してパンチを浴びせたり捕まえて膝を入れたりしている。これはチェの視野の中で戦っているわけで、あまり賢い戦い方ではない。

チェは視野が普通の人より狭いはずだ。ガオグライは横方向に素早く動き、チェの狭い視界の外側から攻撃をかけるべきだったと思う。チェは左半身を前に出す姿勢なので、左に素早く動くガオグライは容易に視界から消える。実際、ガオグライがチェにヒットさせたフックもハイキックもチェの左外側から打ったものである。つまりガオグライにとっては右のフックとハイキックである。3Rくらいで「フックが当たるぞ」と気づいて多用していたが、遅きに失した感がある。あるいは外側に素早く動いてからの右のローキックの連打でもよかったと思う。いずれにせよ、セコンドに医学知識がある人がいれば違った戦い方ができたのにと悔やまれる。

3:K-1ついに禁断の世界へ

角田と曙の試合なのだが、あれ八百長じゃない?わざとコーナーに追い詰められて、本当はサイドから逃れることができたのに、わざと動かずに曙に連打を許してたよね?角田君!あれわざと倒れたよね?あれって、プロはもちろんだけど少し目の肥えた素人でも嘘のダウンってわかっちゃうよ。やばいよ、それ。今まで八百長判定はしてたけど、八百長試合にまで手を出しちゃったらもうダメでしょう。あーあ、K-1ついにやっちゃった。

百歩譲ってマッチメイクや判定をいじるのは許すとしても、八百長試合はまずい。絶対にまずい。僕はもうどうなっても知りません。

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コメント 5

meew

不憫に思ったメーオです。(カタカナで書くとなんかイメージがちがいますね。)

試合の見方が、全然違いますね。私はガオグライが出ている時だけ見ていて、あとはGBASPで「トルネコのダンジョン」をやっていました。だから、曙vsチェの試合でタオルが投げ込まれたのもよくわからなかったくらいです。

「ガオグライvsチェ」戦も、ガオグライがチェの後ろに回って「膝カックン」をやればいいのに・・なんて思っていたんですが、これってけっこう有効な手だったりして。反則じゃないですよね。
by meew (2005-04-10 23:46) 

しょちょう

ははは、膝カックンですか。実は後ろからの攻撃は反則なのです。でもやってみたらいいかも。ガオグライが後ろからミドルキックをすれば膝カックンになりますね。
by しょちょう (2005-04-11 01:45) 

しょちょうさん、はじめまして。他のガオグライ記事と併せて、感想興味深く読ませて頂きました。ガオグライへの愛を感じます。私も少しガオグライが分かったような気になれました。以下しょちょうさんの感想の感想です。

1.ガオグライの進化
全く同感です。さらに組み付いてからのコントロールがめちゃくちゃ上手くてびっくりします。

2.決勝での戦い方
チェの視野の話は全く知らなかったので勉強になりました。全然考えた事がない視点からの考察で、目から鱗です。若翔洋(とその陣営)も知らなかったんでしょうか。知ってても左右に動けなきゃ駄目か。

3.K-1ついに禁断の世界へ
私は厳密な意味(試合前に勝敗を決めておくという意味)では八百長ではなかったと思います。角田選手が主催者側の意向を汲んだ(というか角田選手も主催者側の一人ですが)試合展開にした事は確かだと思いますが、勝ちに行かなかった訳でもないように見えたので。まわりくどい書き方ですみません。
もし今回の試合が角田選手が勝手に寝たのだとしても、K1の人間である角田選手がやるのと単にその時リングに上がるだけの他の選手にやらせるのでは余りにリスクが違うので、今後もやっていくとは思えないのですが。
by (2005-04-12 19:35) 

しょちょう

シマダさん、ようこそ!
お待ちしていました、こういう御意見!
角田さんに関しては、私の視点から見ると以下の2点が気になりました。

1:コーナーに追い詰められたときにいくらでも逃げられる隙があったのに逃げようとしなかった。「逃げない」というと聞こえはいいのですが、わざと負けに行ったとも取れます。
2:2回のダウンシーン、特に2回目のほうはわざと倒れたように見える。

ここらへんの所はプロの方の意見も聞いてみたいところです。無論、八百長でなければそれに越したことはありません。文字通り命を賭けてやっているガオグライも報われますし。

また、御意見お待ちしています!
by しょちょう (2005-04-12 22:20) 

クー

  また少し意見??お話させてください。
なんにも分かりませんが・・・。物凄く勉強になります。
 私もとにかくガオグライ・そしてガオグライの祖国タイを愛しています。
 これだけですみません。
by クー (2005-11-06 22:54) 

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