しずかちゃんの世俗化 [その他いろいろ]
子供と一緒にドラえもんを見ていて思うのだが、大山のぶよ引退に伴う新シリーズになってからずいぶん番組の雰囲気が変わってしまった。声優が変わったことによるキャラクター・イメージの変化に加えて、キャラクターの性格も一新された。
変化が目に付くのはのび太としずかちゃん。特にしずかちゃんの世俗化が甚だしい。このシリーズになる前、しずかちゃんと言えば大人しく、賢く、言葉使いが丁寧で、保守的かつ無垢なまさに浮世離した「スーパー良い子」、僕らの世代にとって神聖な存在であった。しかしこの新シリーズでは、のび太が気に入らないことを言えばビンタを食らわせ、嫌なことには「イヤイヤイヤ、イヤー!!」としっかり自己主張をし、ジャニーズ・アイドルを見て失神しそうな表情でキャーキャー騒ぐような、実にしずかちゃんらしからぬ俗物へと変身している。
確かに、今までのしずかちゃんでは最近の視聴者にとっては不満なのかもしれない。ああいう古典的なアイドル・キャラクターは今ではウケない。吉永小百合が現代にデビューしてもきっと売れないだろう。ああいう大人しい優等生タイプではなく、ガンガン自己主張して「わたしらしさ」を押し出すキャラの方が、特に女の子からはウケるようだ。
のび太にしても、今の彼は昔ほど消極的ではない。昼寝ばかりして、困ったことが生じたらドラえもんにすがりつく情けない男の子というイメージは概ね残っていながらも、今ののび太は「僕はこれをしたいんだ、だから協力して、ドラえもん!」という積極性・能動性が見受けられる。「ダメなのび太」と「すべてにおいて完璧なしずかちゃん」というシンプルな二項対立の図式は、高度成長期を過ぎポストモダンに突入した現代日本人の価値観にはそぐわないということなのかもしれない。子供向けのアニメといえど、時代の流れには逆らえないということでしょうかね。
変化が目に付くのはのび太としずかちゃん。特にしずかちゃんの世俗化が甚だしい。このシリーズになる前、しずかちゃんと言えば大人しく、賢く、言葉使いが丁寧で、保守的かつ無垢なまさに浮世離した「スーパー良い子」、僕らの世代にとって神聖な存在であった。しかしこの新シリーズでは、のび太が気に入らないことを言えばビンタを食らわせ、嫌なことには「イヤイヤイヤ、イヤー!!」としっかり自己主張をし、ジャニーズ・アイドルを見て失神しそうな表情でキャーキャー騒ぐような、実にしずかちゃんらしからぬ俗物へと変身している。
確かに、今までのしずかちゃんでは最近の視聴者にとっては不満なのかもしれない。ああいう古典的なアイドル・キャラクターは今ではウケない。吉永小百合が現代にデビューしてもきっと売れないだろう。ああいう大人しい優等生タイプではなく、ガンガン自己主張して「わたしらしさ」を押し出すキャラの方が、特に女の子からはウケるようだ。
のび太にしても、今の彼は昔ほど消極的ではない。昼寝ばかりして、困ったことが生じたらドラえもんにすがりつく情けない男の子というイメージは概ね残っていながらも、今ののび太は「僕はこれをしたいんだ、だから協力して、ドラえもん!」という積極性・能動性が見受けられる。「ダメなのび太」と「すべてにおいて完璧なしずかちゃん」というシンプルな二項対立の図式は、高度成長期を過ぎポストモダンに突入した現代日本人の価値観にはそぐわないということなのかもしれない。子供向けのアニメといえど、時代の流れには逆らえないということでしょうかね。
おはようございます
しずかちゃんは、もうしずかじゃなくなってしまったんですね.
子供がアニメのキャラクターから受ける影響は結構あるので
登場人物は「いい子」であってほしいです
天国の不二子先生はどう思ってるんでしょうね?
by にこちゃん (2006-07-12 09:35)
おかしい!でももともと、しずかちゃんは、アニメやヒーローものによくある「男性の中の女の子ひとり」のパターンで、私たち女子から見れば、「しずかちゃん、女子のともだちいないの?」とちょっと不自然(笑)。
優等生の出来杉くんはどうなったんでしょうか。もう今は全く見なくなっていたけれど、興味がわいてきましたー。
そういえば、今の子どもたちって、「ウサギとカメ」の話だと、だんぜん「ウサギ」のほうが好きだそうですよ。かっこいい天才だけど、ちょっとぼけたところもある。そんなウサギのほうが人気。
by チョムプー (2006-07-12 11:59)
にこちゃんさん
天国の不二子先生は内心忸怩たる思いでしょう。僕も共感します。
チョムプーさん
確かにかつてのしずかちゃんは男の子の視点から理想化・偶像化された女の子であり、ある意味不自然な存在だったと言えます。亀よりも兎を好む現代の子供達、とくに女の子たちはもっと自然で能動的なしずかちゃんを求めているのかもしれませんね。
by しょちょう (2006-07-15 17:36)
面白いお話ですね。これはこれで論文のテーマになるでしょうね。
by (2006-07-16 14:13)
こんにちは。一年ぶりぐらいです。
いまどきの名門女子校に通うお嬢様方は、高学歴・高収入・地位・名声への野心を持っていて、年収一千万や、緒方貞子なんて目じゃないのかもしれません。そういう彼女たちの共感を得るには、「すべてにおいて完璧なしずかちゃん」は、現代日本の弱肉強食の子ども社会では発信力が低く、無視されるだけなのかもしれません。
一方、「ダメなのび太」がイメチェンを図ろうとしている背景には、今の時代の世相として、「ダメなのび太」系の男の子が増えているのかも、と考えます。
『ドラえもん』は『サザエさん』と並んで抜群の視聴率を誇る長寿番組。『サザエさん』が家族のあり方のモデルとして普遍的に君臨する一方、『ドラえもん』は家族の断絶が叫ばれる中、無気力でキレる子どもにも希望を与えるために、「ロール・モデル」として子どもを描かざるを得ない状況のような気がします。
いずれにせよ、『ドラえもん』も『サザエさん』も、教育的効果を狙った番組なので、悪いようにはならないはずです。←楽観的過ぎ?「まぁ静観してましょうよ」と考えるあたりが、前世代の人間の証拠かもしれませんね。
by (2006-07-29 18:28)
yutakamiさん
そうですね、掘り下げていくと結構ちゃんとした論文になると思います。時間があれば自分でやりたいのですが・・・・・誰かやってほしいです。
junkoさん
お久しぶりです。
しずかちゃんは高度成長期に求められた「良妻賢母予備軍」としての女の子のロールモデルだったんですよね。そして現代の「キャリア・ウーマン予備軍」たちからはウケが良くないのかもしれません。そして昔は「こんなのいるわけないだろう」と笑われていたのび太であるが、「ニート予備軍」の子供が増える中、彼の存在がもはやしゃれでは済まなくなってしまったということですね。あー怖い怖い。
by しょちょう (2006-08-01 21:31)